横井 聖徳の強みのひとつが、「体験型スクーリング」です。私が担当するのは、社会福祉の援助技術を修得する授業。相談窓口での対応、家庭訪問などソーシャルワークの現場を再現し、ロールプレイングを多く実施しています。コロナ禍のオンラインによるスクーリングでも動画による練習を取り入れるなど体験する学びを工夫。学生の感想で多いのは「いかに難しいかが分かった」というもの。そうした気づきは体験の中からしか生まれません。久米 学生同士の学びの中で気づきを得てもらうことは重要ですよね。聖徳では18〜70代の幅広い年齢、さまざまな職業の学生が学んでいます。感性も違うし、考える視点も違う。精神障がいに関する授業では、誰しも自身の中にある誤解や偏見に気づいてほしいと考え、オンラインでのスクーリングでも3〜4人のグループワークを展開。多様な考えに触れる機会を作っています。また、学生の中には福祉以外の領域からリスキルのために学びに来る方もいます。私自身、エンジニアから主婦になり、40歳になって大学に入り直して福祉を学んだ経験があります。リスキル教育を専門職にどうつなげるか、私の経験をもとに頑張る勇気も伝えたいと考えています。小林 スクーリングでは、「学校救急看護」や実習前後の指導などを担当。それらの科目でも「体験」を重視した指導を行っています。養護教諭コースでも幅広い年代の方が学んでいて、みなさんとても勉強熱心。スクーリング最終日の質問タイムは1コマで足りないほどの質問が出てくるんですよ。学生同士が刺激し合って学べる環境小林 養護教諭の実習は、それぞれの学生が小学校、中学校、高等学校と異なる現場を経験します。その経験を共有できるのが、事後報告会です。新たな気づきを得る絶好の機会であり、次は自分もこうしてみようという意欲にもつながっていると感じます。久米 精神保健福祉士の実習の事後指社会福祉士取得のための必修科目である「ソーシャルワーク論」「社会福祉援助技術演習」の科目を担当。専門はスクールソーシャルワーク。その効果的な実践や、スクールソーシャルワーカーの実践能力について研究を続けている。導でも、他の学生の発表を聞いて疑似体験してください、と伝えています。自分だったら何ができただろうと考えることで、理解を深めることにもつながるんです。横井 社会福祉の領域でもそうですね。社会福祉士は、高齢者、子ども、障がい者など分野を問わずに広く対応できることが必要です。事例分析では、対象者の生い立ちを社会状況と照らし合わせて分析しますが、2008年のリーマンショックを子ども時代に体験した受講生もいれば、つい最近のことだと感じる年配の受講生もいる。つまり、ベースとなる経験が違うんです。多彩な視点を持つことは、相談者に対応するときの幅につながります。年齢や職業、物事のとらえ方も違う仲間との学びを通し、対応力も養える、それも聖徳ならではの学習環境ですね。久米 福祉の現場で出会う対象者には、自分が知らなかった困難を抱えた方々も多いんです。戸惑うこともあるでしょうが、知識や見聞きした経験を増やし、引き出しを多く持っていれば、それが福祉職にとっての強みとなります。聖徳での学びの過程は、その引き出しづくり。心理・福祉学部 社会福祉学科 准教授横井 葉子先生さらに進化した体験型スクーリング社会福祉士は分野を問わず総合的に対応する力が必要。卒業後の活躍を視野に学べるのは聖徳だからこそ。社会福祉学科 教員05セイトクのシンカ論SIDE:B■■■座談会
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